夏の盛りとなり、暑さに負け気味ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は油中水分計のお話です。
油中水分計とは…
聞き馴染みの無い言葉ですが『ゆちゅう』水分計と読みます。
油中水分計は『油の中にある水分』を測定する為に使用されています。
測定対象となるものは幅広く、エンジンオイルや食用油など様々な分野で活躍しています。
何故、静電容量で油の中にある水分を測定できるのか?
それは、油と水の比誘電率が異なるためです。
油は約2の比誘電率,水は約80の比誘電率を持っています。
仮に容器に油だけが満たされた状態だとします。
油だけが満たされた容器に静電容量測定を行うための電極を挿入します。
静電容量値(比誘電率)を確認します。
そして容器に水を数滴、垂らします。
すると、静電容量値はプラス側に増加します。
これは、油(比誘電率2)に水(比誘電率80)が入ったために容器の中身が混合物(油+水)となったためです。
混合物の比誘電率は油以上,水未満になるため油だけだった時の静電容量値と比較すると混合物(油+水)となった状態では油の比誘電率2より大きな比誘電率となったために静電容量値はプラス側に増加します。
容器に水を足してゆくと静電容量値はプラス側に増加してゆき、最終的には容器の中身が水だけで満たされ静電容量値の増加が止まります。
水だけで満たされた容器に油を垂らしてゆくと、静電容量値はマイナス側に減ってゆきます。これは、油に水を足して静電容量値がプラスになることと逆になると考えるとわかり易いですね。
この様に、比誘電率の違いから油中にある水分を測定することが可能です。
弊社は半世紀近い社歴の中で数多くの油中水分計を設計、製作、販売してまいりました。
今後もY.E.I.の油中水分計で皆様の測定にお役に立てるように日々、改良を加えております。
水分計で何かお困りごとがあれば、是非とも
お声掛け をお願い致します。
皆様、大変な時期ではありますが力を合わせて乗り切っていきましょう。
今月は弊社の機器選定についてご紹介致します。
弊社では、弊社の製品を初めてお使いのお客様、何度かご利用していただいているお客様でも今回は初めての測定物を計測されたいなど、様々な初めてに対して安心してご使用していただける機器を選定しております。
サンプル測定用の基準電極と静電容量計
(CM型シリーズ) を用いてお預かりしましたサンプルの静電容量を測定します。
弊社は静電容量一筋でやってきましたので、ありとあらゆる物の静電容量を測定できる技術力があります。
そのため、お預かりしましたサンプルの静電容量を測定することが可能で、そこからサンプルの誘電率を算出致します。
※弊社機器の静電容量方式では誘電率を把握することで最適な機器選定が可能になります。
そのため誘電率を算出します。
代表的な誘電率であれば文献等で調べることが可能ですが、
お客様でご使用の測定物の誘電率などは文献等で調べることは困難かと思います。弊社にお任せください。
静電容量から誘電率を算出し数値化することにより、明確に測定データとしてお客様にご提案でき、最適な機器を選定することが可能となります。
お客様がご希望であればサンプルの測定検証に立ち会っていただくことも可能です。
ステップ1 の測定データだけでは不安なお客様に安心していただけるよう、目の前で測定検証を行いご納得して弊社の機器をご使用していただけます。
また、実際にお客様自身で機器に触れサンプル測定を行っていただけますので、より信頼性が高まると考えております。
このように弊社ではお客様が安心してご使用できるような機器選定を行っております。
目では見えない静電容量を数値化し、明確にお客様へ機器の提案ができるのは弊社の強みです。
お困りのことなどございましたら是非一度 弊社にご相談 ください。
通常であれば「気候も良くお花見でも」とお話しさせていただくところですが…
COVID-19の感染が全世界で拡大しております。
皆様におかれましても十二分にご注意ください。
弊社におきましては社員一同十分に注意しつつ通常業務を執り行っております。
今月の「Y.E.I.の芽」の掲載についても、平常時の内容を掲載させていただきますことをご了承ください。
皆様は日々時間に追われていると思います。
日々時間に追われるということは、日々年を取っているということになります。
子どもの頃、転んで膝を擦りむいた…、工作をしていてカッターナイフで手を切ってしまった…等、様々な怪我をご経験させていると思います。
その時と比べて今の怪我の治る速度はどうですか?
いつの間にか治りが遅くなったなと感じられたことはありませんか?
日々少しずつ治りが遅くなっていて、明確にいつから治りが遅くなったのか気づかない方がほとんどかと思います。
電子部品を使用している弊社計測機器においても、
通常のご使用状態であれば大幅にかつ急に数値がおかしくなることはほとんどありません。
しかし、電子部品も使用時間に応じて劣化が進行します。
自分自身の劣化はなかなか検知し辛いですが、計測機器なら…
弊社においては定期校正というサービスが御座います。
弊社機器を品質管理等にご使用されている場合、気付かないうちに基準値がずれてしまっていれば大きな問題となります。
そこで弊社の定期校正サービスをご利用いただくことで、気付かないうちに発生した少しの数値のズレを大きくなる前に校正し、問題を回避することが出来ます。
機器によって校正のサイクルは異なりますが、弊社では概ね1年程度での校正を推奨いたしております。
詳しくは弊社営業部に お問い合わせ ください。
人の老いはなかなか気づきにくいですが、弊社機器の老いは校正で早めにメンテナンスすることが出来ます。
昔から「1月は行く 2月は逃げる 3月は去る」と言われます。
聞いたことありますか?
この言葉通り、1月はあっという間に過ぎてしまいました(・_・;)
2月、3月は更に加速して時間が過ぎそうです。
1秒の長さは決まっているのに何故でしょうね。
ちなみに1秒の長さの定義は、
「秒は、セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍の継続時間である。この定義は温度0K(ゼロ・ケルビン)のもとで静止した状態にあるセシウム原子に基準を置いている」
わかりにくいですね……。
もう少しわかりやすく言うと、
セシウム原子の出す電磁波の波1回分の時間の91億9263万1770倍 だそうです。
どちらにしてもわかりづらいですね。
雑学はこれくらいにして本題に移ります。
Y.E.I.技術部では、「技術部全員が開発者」を今期のスローガンに各自それぞれが新製品の開発を進めています。
私自身の目標として、今期は新製品2機種の開発を予定していたのですが、昨年末、更に1機種追加で開発を進めることが決まりました。
追加の1機種は完全な新製品でなく、マイナーチェンジ(ブラッシュアップ品)になりそうです。
商品名は、「鋳物砂水分計」です。
20~30年前に自動車や鉄鋼、鋼管関連等の鋳物工場に数多く出荷されていた製品です。
ここ20年程は、年に1台出るか出ないかという商品です。
では何故今、鋳物砂水分計のブラッシュアップ? とお思いでしょうが、昨年中頃から鋳物砂水分計の問い合わせが増えているからです。
弊社機器は、なかなか故障することが無く、一度お納めすると次のお話を頂くまで時間を要します。
そのタイミングが重なったのでしょうか…、それとも鋳物業界の業績が上向きなのでしょうか…。
理由ははっきりとはわかりませんが、ニーズがあるのであれば今まで以上のもっと精度の良い製品に改良しようということに決まりました。
昨年末、お客様よりお預かりしました鋳砂サンプルを用い、20年?30年前?を思い出しながら久しぶりにデータ取りを行いました。
結果は、忖度なしで以下のようになります。
実水分(%) | G'補正後 | 表示水分(%) | 誤差 |
---|---|---|---|
0.2 | -3.22 | 0.15 | 0.05 |
0.3 | -3.30 | 0.11 | 0.19 |
0.3 | -3.19 | 0.16 | 0.14 |
0.9 | -1.57 | 0.90 | 0.00 |
0.9 | -1.54 | 0.91 | -0.01 |
0.9 | -1.56 | 0.91 | -0.01 |
1.3 | -0.45 | 1.41 | -0.11 |
1.3 | -0.43 | 1.42 | -0.12 |
1.3 | -0.41 | 1.43 | -0.13 |
1.8 | 0.74 | 1.95 | -0.15 |
1.8 | 0.75 | 1.96 | -0.16 |
1.8 | 0.75 | 1.96 | -0.16 |
2.1 | 1.46 | 2.28 | -0.18 |
2.2 | 1.45 | 2.28 | -0.08 |
2.2 | 1.46 | 2.28 | -0.08 |
2.5 | 2.09 | 2.57 | -0.07 |
2.5 | 2.06 | 2.55 | -0.05 |
2.5 | 2.06 | 2.56 | -0.06 |
3.0 | 2.24 | 2.64 | 0.36 |
3.0 | 2.30 | 2.66 | 0.34 |
3.0 | 2.43 | 2.72 | 0.28 |
実水分(%) | C'補正後 | 表示水分(%) | 誤差 |
---|---|---|---|
0.2 | 0.41 | 0.31 | -0.11 |
0.3 | 0.39 | 0.26 | 0.04 |
0.3 | 0.43 | 0.33 | -0.03 |
0.9 | 0.78 | 0.90 | 0.00 |
0.9 | 0.79 | 0.93 | -0.03 |
0.9 | 0.78 | 0.91 | -0.01 |
1.3 | 1.02 | 1.30 | 0.00 |
1.3 | 1.02 | 1.31 | -0.01 |
1.3 | 1.04 | 1.33 | -0.03 |
1.8 | 1.30 | 1.75 | 0.05 |
1.8 | 1.26 | 1.70 | 0.10 |
1.8 | 1.29 | 1.74 | 0.06 |
2.1 | 1.52 | 2.12 | -0.02 |
2.2 | 1.48 | 2.05 | 0.15 |
2.2 | 1.49 | 2.07 | 0.13 |
2.5 | 1.85 | 2.67 | -0.17 |
2.5 | 1.78 | 2.55 | -0.05 |
2.5 | 1.75 | 2.50 | 0.00 |
3.0 | 2.07 | 3.02 | -0.02 |
3.0 | 2.10 | 3.07 | -0.07 |
3.0 | 2.03 | 2.96 | 0.04 |
データを見ていただければわかるように砂の密度を一定に保てれば、リアルタイムに水分測定が可能です。
今回の「Y.E.I.の芽」で、改良された鋳物砂水分計のセンサーの情報をもう少し詳しくご紹介したかったのですが、間に合いませんでした。すみません<(_ _)>
興味のある方は、「Y.E.I.の芽」を見た、と ご連絡 ください。お待ちしております。
新型鋳物砂水分計に ご期待ください!